お国柄のちがいは? アメリカ大統領選・公開討論会を見て感じたこと

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アメリカ大統領選挙を前にして、第1回目の討論会が開かれました。
民主党のヒラリー・クリントン、共和党のドナルド・トランプ。
11月の投票に向けて、盛り上がってきましたね。

日本時間9月27日(火)午前10時、インターネット配信で生放送の討論会を観ました。
こうやって、インターネット生放送を観れるなんてすごいことです。

10年ちょっと前に遡れば、こんなに早い速度のインターネットが普及してなかったころは、
電話で話すにも、国際電話は1分あたりいくらで…
むこうとこっちには時差があるから、話す間隔、ちょっと待たなきゃ。
同時に話しちゃいけないのね…なんてことがありましたけど。
毎度のことながら私はアナログ世代なので、急速な技術の進化に驚きます。

ふたりの討論会を見て、「お国柄の違い」など、いろいろ感じたことを書いてみます。

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話す力は、教育のちがい?

日本人は討論(ディベート)が苦手と言われています。
「たしかにそうだ。」と思います。
私がもし「討論会に参加してください。」などと言われたら、どうでしょう。
「喜んで参加します!」なーんて言えずに、当然尻込みしてしまいます。

なぜ日本人は討論(ディベート)が苦手といわれるのか?
民族論などいろいろ考えられる理由はありますが、その一つが教育によるものでしょう。
夫に聞くと、学生時代には徹底した討論(ディベート)を学校で勉強するそうです。
その題材に対して、AとBの意見があり、意見を戦わせる。
あなたはAグループね、あなたはBグループと生徒は振り分けられて、
論拠を構築してそれぞれの立場で戦う。

そして最終的に、ディベート勝者はどっちのグループかという「勝敗」まで決める。

トレーニングしている人にとっては、討論(ディベート)をする際に、本当の自分の感情や意見は置いておいて、もう一方の立場になったつもりで身を置くことは難しくないでしょう。
例えば、本当の自分の気持ちは【A】だけど、【B】の立場で反証する、なんてことができるようになる。

そういう話を聞くと、
日本人はディベート術を知らないから、よくトレーニングされていないからかな? と
思ってしまいます。それもひとつあるでしょうね。

自分の意見は正当だ

幼いころから、意見を言ったり討論したりすることが日常的に鍛えられているアメリカ人。
その術以前に、彼らは「自分の意見」を持っています。
———-わたしはこう思う。なぜならこうで、ああで、こうだから…。

幼児同志がケンカしたシーン。
「なんであの子をパンチしたの?」との親の問いかけに、
叱られたその子は、泣きながらも自分がとった行動について「正当だった」と理由を答える。

「だって、あの子が急に来て、僕のおもちゃを取ったんだもん。」
「『おもちゃ貸して』って言わなかったよ。人のもの貸してもらいたいとき『貸して』って言わなきゃだめでしょう? 『僕のおもちゃ、返してよ』って僕が言っても、返してくれなかった。だからパンチして取り返したんだ。」

「貸して」と言わず、相手の許可なく、急に人のおもちゃを取ったあの子も悪い。
おもちゃを取られた僕が、パンチ(暴力)で取り返すのも悪い。
両方が悪い。

「謝りなさい。だれかに謝るときにはなんていうの?」
幼児2人「ごめんなさい」と、お互い泣きながら謝って一件落着。

自分の言い分を表す。
相手の言い分を聞く。
お互いに理解し合う。
そして、お互いの立場や主張する意見を尊重し合う。

他と己が違うからこそ、意見を言う必要があるわけなんですが、
こういうシーンを見かけると、「こんな小さなうちから、ちゃんと自分のことを言える、説明できるなんてすごいなぁ。」と単純に思います。

何も言わず空気を読む国とはちがい、「個人主義が発達した国なんだなぁ」と差を感じます。

当然この討論会も「自分の意見は正しい」前提で、両者自信満々な面持ちで進行します。
白黒はっきり。相手にも ”NO!”とはっきり。
”Wrong. Wrong. Wrong………!!” と相手の話を遮り、同じ言葉を連発するドナルド。
さてさて、全部で何回言ってたかな?

個人主義

個人主義とは、世に個人の権利や主張を自由に表現すること。

「ひとからどう思われるか」ということを日本人はとてもよく気にしますね。
個人的な思いを表現して相手から否定されると、「けなされた」と感情的になる人も。

それに比べてアメリカ人はおおらかで、他方の反応をあまり気にしないなぁと思います。
自由にものをいうのは、当然の権利。
もともと他民族国家だから、人種の違いは当たり前で、他人は自分とは違うのが前提。
他と比べた時に「私は私で。これでいいのだ。」と自己肯定力がとても強いです。

自分は自分。自分の考えがあり、スタイルがある。自分の意見を言う。
まわりにはいろんな考えの人がいる。
その違いを乗り越え、お互いに理解し尊重し合う。
他民族国家のアメリカは、とても個人主義の発達した国だと感じます。

そうやって日常社会に鍛えられてきた彼らの「自己主張」や「話す力」。
本当に素晴らしいと感心します。それはよいときも、わるいときも。

よいとき:
能弁に何かを一生懸命に語る。率直に「すごいなー」と感心します。
たいしたトピックでなかったとしても、「議論」も好き。
こうで、ああで、こう思うんだけど、君はどう思う?
社会やほかのひとにとても関心が高い…ともいえます。

わるいとき:
失敗について語る彼らは、どんなにへなちょこな理由であったとしても、
自分の立場を守るためにいう姿は、まさに「言い訳の達人」です。

各人が話の達人である国民の前で、国のトップ候補が繰り広げる討論会。
特に政治家経験のないドナルド・トランプ氏がどのように対応するかに注目。

演出力

ヒラリーとドナルド。ふたりは対照的。強いコントラストですよね。
女と男。
赤と黒。
ベテランとアマチュア。
民主党と共和党。
衣料品店の娘と不動産王の息子。
本物の髪の毛とカツラ(笑)

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普段赤のネクタイが印象的なドナルドは、青いネクタイをつけていました。
普段青いスーツが記憶に残るヒラリーは、赤いスーツに身を包んでいました。

討論するやり方も、
念入りに想定練習してきたヒラリーと、本番一発勝負と言われるドナルド。

相手とはまったく違う方向性を打ち出し、コントラストを強く表現する。
他とのちがいを武器に「私」を優位に浮き立たたせて見せる。
アメリカの大統領選は「劇場型」と言われるゆえんですが、見せ方も大切。
自己表現力、演出力に富んでいると感じました。

スタミナある返し

Donald Trump:
“She doesn’t have the stamina.”
「クリントン氏は、スタミナがないですなー。」

Hillary Clinton:
Well, as soon as he travels to 112 countries and negotiates a peace deal, a ceasefire, a release of dissidents … or even spends 11 hours testifying in front of a congressional committee, he can talk to me about stamina.”
「112か国に移動して外国に着くや早々に和平協定・停戦・反対派の解放を交渉したり、
議会の委員会で証言するのに11時間かかったりしますから、
まあ、トランプ氏がそういうことご経験なさった後でなら
「スタミナ」について言及するのもいいんですけれどもね。」

ただ言い返すだけでなく、自分の弱点に突っ込まれたら、相手の弱点に切り返す。
なるほどー!
スタミナあふれる切り返し方。強いです。

有益な機会

この公開討論会、アメリカ国民をはじめ、世界が注目。
みんなが多大な関心を寄せて見ています。
候補者の意見を聞きながら、どちらの候補者の意見に賛同できるのか。
賛同までいかないとしても、「自分の考え」がどちらの意見に近いのか。
どちらに投票するか迷っている人が、討論会を見て決めるといわれている。
司会者が話題をリードしていきますが、限られた時間の生放送。
何の加工もない状態で両者の意見をしっかり聞けるのは、有権者にとっては有益ですよね。

そもそもアメリカと日本は選挙制度が違いますので、単純比較はできません。
政治家の意見を公表する機会として、国会中継も生中継されたり、政見放送もありますが、
日頃どれぐらいの人が関心を寄せて、直接見たり聞いたりしているんでしょうね。

選挙になると、知名度だよりの候補者が登場して結果的に人気投票のようなものになったり。政策論争に乏しかったり…個人的なお金の問題が露見したり…など、
あとから何かとがっかりすることも多いもので。

何に対してどういう考えを持っているのか。
有権者にとって、選挙の前に候補者をしっかり知ることができる機会は多い方がよいですね。

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