日・米 二重国籍への考え方

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複数の国籍を取得した場合の「二重国籍」。
日本とアメリカの「二重国籍」に関する法律の規定を見てみよう。

FranckinJapan / Pixabay

1. 日本では、二重国籍は認められていない

(1)出生による二重国籍の場合—–22歳に達するまでに国籍を選択しなければならない

選択の手続き
①日本国向け:外国籍を放棄する「(日本国籍)選択の宣言」をする
②外国向け :外国籍を離脱する (外国の法律にしたがって)

国籍法
(国籍の選択)
第十四条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有す    ることとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達す     るまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以    内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。

2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、
戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国    籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることに    よつてする。


(2)
大人になってから仕事・結婚・移住などで、外国の国籍を取得した場合。

国籍はひとつだけ。「外国の国籍を取得したときには、日本の国籍を失う」とある。

国籍法
(国籍の喪失)
第十一条 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、      日本の国籍を失う。
2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の
国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。

2. 米国では、二重国籍は「認められている資格」

米国の最高裁判所は、二重国籍を“法律上認められている資格”であり、
“二カ国での国民の権利を得、責任を負うことになる”と述べています。
一国の市民権を主張することで他方の国の権利を放棄したことには
なりません。

The Supreme Court of the United States has stated that
dual nationality is “a status long recognized in the law” and
that “a person may have and exercise rights of nationality in two countries and be subject to the responsibilities of both.
The mere fact that he [sic] asserts the rights of one citizenship does not without more mean that he renounces the other” .

(Kawakita.v.U.S., 343 US 717 [1952]参照)
(出典)アメリカ大使館(日本/東京)Website
https://japanese.japan.usembassy.gov/j/acs/tacsj-dual.html


アメリカ国籍を取得したら、日本政府に通告がいって、自動的に「日本の国籍を失う」の?

あなたが『米国籍を取得したので日本国籍喪失しました」という届けを出さない限り、日本政府が自動的にその事実を知ることはありません。
(出典)アメリカ在住 Yuri Kondo Attorney at Law                http://yurikondo.com/10-13.html 「日米二重国籍」

3. 日本国民は、外国の国籍離脱に努めるべき

外国の国籍離脱については、努力義務にとどまっており、罰則はない。

国籍法
第十六条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければな
らない。

日本人の血をもつ生まれながらの「日本国籍」+ 他国とのかかわりで外国籍を取得。
その後何の手続きをしないままの二重国籍者は多いのではないだろうか。

~このあと
「国際結婚のひとにとっては、身近な「国籍」問題」へ 続きます~

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