日本人が気づかない無意識の外国人差別(レストラン編)

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大阪のすし店、外国人客に過剰わさび、ネット炎上で謝罪。
外食関連で、今日恥ずべきニュースを見ました。
日本語が理解できない外国人だとわかると、食べられない過剰な量のわさびを盛ったお寿司を提供する店。これが事実なら、最悪の行為です。
良かれと思ったわさびのサービスが裏目に出た?
わさびが好きな人と苦手な人がいることは周知の事実。別添えにすればすむ話です。
「外国人に対して、意図的に差別があった。」といわれてもしかたがないでしょう。

アメリカ人夫のとらお(仮名)も、日本に住む外国人です。
他人事ではありませんね。

最近はあまりいっしょに外食する機会も多くないので、
レストランでの食事はエンターテイメント。私たちの楽しい時間です。
でも、一緒にいると困ったことが毎回のようにあるので、それをご紹介したいと思います。

plate at dining

日本のレストランはキレイで快適のはずだが

いらっしゃいませ~!
着席すると、お店の人がメニューとお水を持ってきてくれてご案内。
メニューを見て、今日はどうしようか、何を頼もうかな~♪??
「決まった!これにする。」

ウエイトレスが注文を取りに来ます。
「お決まりになりましたか?」

わたしたちは対面テーブルに座っていて、
ウエイトレスは両方の顔が見える位置に立っています。

とらお:
「はい、私は、ランチメニューで、ステーキとハンバーグのコンビを頼みたいんですけど。
ステーキでなくて、ハンバーグをダブルでつけられますか?
可能だったら差額のお金は払いますので。」
「そこで質問があるんですが、メニューではこの○○は、○○ソースとなっているんですけど、●●ソースもほしいので、両方つけられますか? 必要ならお金は払いますので。」

とらおは、日本語ペラペラ。
完璧な日本語で直接自分の注文をします。聞きたいことがあれば質問をします。

ウエイトレス
「できるかどうかキッチンに聞いてきますので、少々お待ちいただけますか。」
とすぐさまいなくなりました。

困った!幽霊扱い

ここで問題発生です!
ウエイトレスの目線の先は私。彼女の顔の向きも私の方。

私は質問をしていないし、まだ声を発していない。会話を始めていない。
でも、しっかりと私を見て答えている。

こんな場面、最近の私は、ウエイトレスから目を離してしまう。
窓の外を見つめたり、メニューに目を落としたりしてウエイトレスを見ないようにする。

わたし:
「わたしの注文まだしてないけど、行っちゃった。後で戻ってきてくれるからいいねー。」

こんなとき、とらおは顔一面すでに不愉快なムードが漂う。
不愉快だが、それを出すまいと苦渋のガマンの表情。


(わたしの心の中)

あー、また今日も・・・・。まいっちゃったな。

私にはよくわかります、とらおの気持ちが。

(とらおの心の中)
まただ!
自分といま日本語で会話しているのに、会話の相手が自分を見て話さない。
体の向きも顔の角度もあからさまに違う。
日本人の妻に向かって答えている。
自分のことは完全無視だ!!
幽霊扱い?
なんて失礼なんだ、ありえない・・・。

こんなことは日本人同士では考えられないことですが、本当によくあることです。
それは、私がとらおと一緒に出かけるときに必ずといっていいほど起きること。

とらお:
「また幽霊になった・・・(怒)。」

わたし: 
「無意識だから、悪気はないんだよ。」
「外国人に慣れていないから、しょうがない。」

こんなことが起きると、そのたびに一生懸命説明してきましたが、
どこに行ってもあることなので、説明しきれません。

わたし:
「ごめんね、とらお。私が代わりに謝るから許してあげて。機嫌直して。」

せっかくの楽しい外食が・・・・ムードがめちゃくちゃになるときがあって、困ります。

(わたしの心の中)
おねがいです。ウエイトレスの方、彼を見て話してください。

ウエイトレスが戻ってきて、キッチンとの相談事項を報告し始めました。
やはり、ずーっとわたしの方を見て話し続けています。

今回のとらおは強かった。
いつもひたすらガマンしてしまうのですが、今日はガオーと言えたのです。
ガマンせず自分の意見を、私でなく、ウエイトレスに直接ぶつけることが出来ました。

とらお:
「私が質問しているのに、なぜそっちを見て答えていますか?
私の方を見て話してください。
外国人でもちゃんと日本語理解できるし説明もわかりますよ。
私の説明足りないですか?
私の日本語に何か問題ありますか?
すごく失礼ですよ。」

急にとらおの方に体の向きを変えたウエイトレス。
あわてふためき、「申し訳ありません。」を連発する。
何について謝っているのか、この人はわかっているのでしょうか。

「無意識」の差別は存在します

日本は単一民族国家の島国。日本人はみんな同じ皮膚の色で黒い髪。
同質性の中にいると、異なるものへの恐怖感があるのでしょう。

とっさの正直な行動が相手の心を傷つけます。

外国人を避ける。 外国人の目を見て話すことが出来ない。
朝鮮人や中国人はアジア人。
外国人でも外見的に共通項が感じられ、余裕をもって接することができるのかもしれない。
とらおは白人青目のアメリカ人。
無意識の外国人恐怖症です。

ここで問題なのが、「無意識」な行動が「差別的」待遇になってしまっているということ。

相手が不愉快になるよう意図的に人種差別的サービスを提供しているわけではない。
差別するなど、まったく考えていない。
しかし、相手が「人種差別」だと受け取るのなら、そうならないように「意識的に」その行動を改める必要がある。

スーパー・デパート・コンビニ・小売店などの販売業、レストラン・居酒屋などの飲食業・その他サービス業と、人に接することを仕事にしたなら、自分の待遇を振り返ってほしい。
アルバイト・パート・正社員問わず、徹底した意識改革が必要だと感じます。

単純に相手の目を見て話すこと。
会話の基本でしょう、そんなのあたりまえでしょう?
はい、でも、残念ながらそれが出来ていない人があまりにも多いのです。

とらおと街に出ると、必ず感じることなのです。
日本人はシャイだから・・・は、理由になりません。
こういう状況で、TOKYOオリンピック、だいじょうぶでしょうか。
外国人も同じ人間です。差別されたら悲しい気持ちになります。

「ありがとうございました。」
「申し訳ありませんでした。」
丁寧なことばを発しても、気持ちが入っていなかったり、相手の目を見て話さなければ
儀礼的で空虚に聞こえますよね。

人の目を見て話すこと。
ちょっとしたことですが、実はとても大切なこと。
せっかくの人との交流が楽しくなるよう、あいさつをするときにも気をつけたいものですね。

編集後記
良くない言葉なのですが、「差別」に関して話していて、
よく区別がつかない2つの英語の単語の使い方について、とらおに確認をしました。
頭で考えている、行動すること、それぞれ使うことばが違うようです。

・prejudice 偏見(先入観)<——–考え方
・discrimination 差別 <————行動
またそこに人種差別の意味合いが入ってくると、下記のことばがあります。
・racism 人種差別 (人種によって不当に差別すること)
・racist  人種差別をする人のこと

「ガイジン!」ということばにも、差別的ニュアンスが入っていますね。

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